8月, 2018年

味噌玉の仕込み 番外編1 <筑波大の研究>

2018年08月18日

味噌玉の研究

サンプリング味噌玉

今年の仕込みのニュースとしては、
筑波大学の菅平研究所から
「味噌玉造りの味噌にどんな菌があるか調べたい」と
ありがたい話がありました。

大学院の学生のOさんが仕込みを手伝いながら、
味噌玉の写真を撮ったり、採取したりしていました。

穴の開いた味噌玉なんて、初めてですよね。
定点カメラもつけて、何時間おきかに一枚ずつ自動で
シャッターが切れるようになっているそうです。

以前に萬年屋では、味噌玉にするとしないとでは、
味噌に含まれる生成菌の数が、

1mg当たり
300個から
66,000個に爆発的に増える

という事だけは調べました。

しかし、どんな菌がいるかまでは
専門的な装置がないと調べられないし、
調べるとしても一個づつ菌を特定していくので、
かなり高額になるときき、やめたそうなので、
(まあ、66,000個も菌がいたらそうなるでしょうね。)
詳しくは調べないでいたのです。

そこへもって、筑波大の話は誠にうれしいことで、
今から結果が楽しみです。

Oさんの予測ですが、
普通は味噌に入ると雑味として嫌われる菌も入っていて、
それが味噌玉特有の深い味になっているのではないかとの事です。

 

 

 

味噌の仕込み 8 <最終:踏み込み>

2018年08月18日

DSC00047

仕込みも最終段階です。

砕いた味噌玉に、糀・塩・水を入れて混合し、
樽に入れて秋まで熟成させます。

この写真の時は、
味噌玉からかなりのアルコール臭が発生し、
お酒に弱い人でしたら、
酔ってしまうほどです。

大豆が発酵しているだけなのに、
アルコールが出るなんて不思議ですね。

「仕事しながら、お酒飲んでいるみたいで
得じゃない♪」
と、言ったところ、

それどころじゃないよ!
塩と糀との割合を間違えない様に、
数を数えながらやっているんだから、
酔っぱらっていたら、仕事にならない!」

と、萬年屋の社長兼職人が言っていました。
それもそうだ!(笑)
失礼しました。ハハハ

#味噌 #踏み込み

 

最後に踏み込みです。

空気が入るとそこからカビが生えるので、
タンク毎に踏み込みます。

子供がやりたがるのですが、
体重が軽すぎて、踏み込みにならず、
これは大人の仕事。

これで土蔵に移して秋から冬にかけて
新味噌の出来上がりです。

美味しい味噌になりますように!!

味噌の仕込み 7 <味噌玉洗い>

2018年08月18日

味噌玉をふやかす  

熟成した味噌玉を洗うために、ふやかしている所

味噌玉を洗って塩と糀と混ぜる時期は、
熟成が進んで、腐敗する手前。
発酵食品は、熟成と腐敗の微妙な兼ね合いですね。

DSC01424

味噌玉の表面と割れ目の中にはカビが生えているので、
そのカビを一つ一つ洗い流します。

昔は一般家庭でも味噌玉で味噌 を作っていたのですが、
その時の話を聞くと、わざわざカビが生えるまで待って、
カビごと仕込んだという話をよく聞きます。

それも家庭の味なのでしょう。
自分の家で作った味噌が一番美味しい!
だから、「手前みそ」という言葉が出来たんですね。

味噌玉を砕く

 

萬年屋では、
かびごと仕込むとかび臭くなるので、

味噌玉を洗ってから仕込みに入ります。

上の写真は、洗った味噌玉を砕くところ。
水色の樽に入っているのは、洗った味噌玉で、
それを機械で砕きます。

3週間熟成させた味噌玉の中央は
まだ柔らかくて、手でつぶせる程ですが、
表面は乾燥して固くなっています。

そうですね、スイカの皮かメロンの皮くらいの固さでしょうか。
機械でないと砕けない固さですね。

自宅で味噌玉を作っていた人は、
どうやってこの固さを砕いたのだろうか・・・と
不思議に思ったので、

お客様の中で、子供のころに自宅で味噌玉を作っていた方に聞いたところ、
石臼で引いたとか、集落の誰かが砕く機械を持っていたとか。

やはり、人の手で砕くには固すぎますよね。
こういう事を聞けるお客様も高齢の方が多く、

しかも、子供のころに手伝っただけだから、
詳しいことは覚えていないという方ばかりで、
いずれは聞けなくなってしまいますね。

味噌玉造りという味噌の仕込み方は、
本当に消えかけている味なのだなぁと
実感した次第です。

わかる方がいるうちに、聞いておきたいものです。

 

味噌玉の仕込み 6 <熟成>

2018年08月18日

味噌玉 熟成中   味噌玉 熟成中

 

2週間ほど熟成させた味噌玉です。

蒸し大豆をつぶしただけなのに、こんな泡みたいのが出てきます。

これが、「あめ」と呼ばれるもので、
熟成が進んでいる証拠です。
あめと言っても甘くはなく、

どちらかというと、
腐った牛乳の様な、
ブルーチーズの強烈な香りの様な・・・

そういえば、牛乳が発酵するとヨーグルトになるのときには、
こんな香りになるのかなあと思いながら、
毎年味噌玉を見ています。

また、萬年屋の味噌には
この時点で蔵に住み着いた菌が
味噌玉に付着?発生?します。

だから、あめにはチーズ系の香りがするようになるのでしょうか?!

この「あめ」が出てくるころになると、
味噌玉もアルコールの様な香りがしてきます。

ただ、つぶした大豆を発酵させているだけなのに、
春の連休前、このほんのわずかなこの季節だけ

腐らずに熟成だけする。
先人の知恵ってすごいと思います。

味噌玉の仕込み 5 <味噌玉並べ>

2018年08月18日

釜から出して1個2升に切り分けた味噌玉は、
半分の1升分にして風通しの良い場所へ並べます。

切り分けるのには包丁ではなく、ステンレス製の薄い板を使うのですよ。
目分量で半分にしていくのですが、
気を許すと曲がって切ってしまいますので、慎重にね・・・!

味噌玉

 味噌玉は工場の蔵の中に並べていきます。

風通しが良いように、
等間隔に隙間を開けながら、
倒れないように並べます。

並べる台は角材に横板を渡し、その上に竹のすのこをひいて
この上に乗りながら並べます。

竹すのこがおれない様に、角材の部分のみに乗り、
横板には体重をかけない様に!

乗ってもしなるので多少は大丈夫ですが、
所々虫食いで傷んでいる部分もあり、
そこに乗ると、竹すのこが折れます。

ロシアンルーレットみたいでスリルあり!
な〜んてね。

ここからは←まちがい
ここから、子供達の活躍する場面です。
なにせ大人より小さくて身軽なので、
竹すのこの上で軽快な動きです。

 味噌玉の熟成

大人は天井に頭がつかえるのですが、

子供は背が小さいので、立っても大丈夫。

高い所に上りたがるのは、まるでおサルさんかしら?
何とかは高い所が好きというのが、あてはまるのでしょう(笑)

味噌屋は知力よりも体力!
家業を手伝うのには、もってこいです!

 

味噌玉 並べ    味噌玉 並べ

 

 

 

 

 

味噌玉の仕込み 4 <酪酸菌入り味噌>

2018年08月02日

酪酸菌入り味噌

萬年屋の味噌玉造りの味噌は、今話題の酪酸菌が入っています。
未来世紀ジパングの取材のカギになったのも、
酪酸菌入りの味噌だからという事もあります。

萬年屋の味噌蔵にたくさんの菌が住み着いていて、
その中の一つが酪酸菌です。

味噌に酪酸菌が入っているというのは非常に珍しく、
お客様には
「チーズの様な風味がする」

といわれることも多いです。

現在の一般的な信州味噌は、
大豆を煮たら同時に塩・糀・水を入れて熟成させますが、
味噌玉にするという事は、
塩を入れないで大豆だけで熟成させ、その後で塩を入れるので、
酵素が爆発的に増えるのです。

ちなみに生成菌の数は
味噌玉にしない「天醸」は1mgあたり300
味噌玉にすると66,000です。

全く同じ原料を使って仕込んでも、この菌数の違いが味の違いになります。

何度も書いていて、耳にタコが出来ましたか?!
あ、読んでいるので目にタコかしら(笑)

話を元に戻して・・・

塩を入れるという事は、
塩は殺菌作用があるので、
塩よりも強い菌(酵素)しか繁殖しないのですが、

味噌玉にして大豆だけで熟成させるので
酵素がたくさん含まれるようになるのです。

ある意味、塩ってすごい消毒作用がありますよね。

いつ頃、酪酸菌が萬年屋の蔵に住み着いたのかは
わかりませんが、

萬年屋でも味噌玉にしない
「天醸」には酪酸臭はしないので、
酪酸菌は塩には弱いという事でしょうか。

やはり大豆だけで熟成させるというのが、
酪酸菌入り味噌が出来るカギですね。

私もなぜ今酪酸菌が注目されているのか、
「腸内細菌として良い菌だ」
という程度しか知らなかったので、
簡単に調べてみました。

結果は次回のブログをご覧ください。

 酪酸菌入り味噌

酪酸菌ほかいろいろな酵素が繁殖中の味噌玉(煮大豆)です。
プチプチ音を立てているときに、
酵素が産まれているんですね〜。なんか神秘的!