熟成した味噌玉を洗うために、ふやかしている所 味噌玉を洗って塩と糀と混ぜる時期は、熟成が進んで、腐敗する手前。発酵食品は、熟成と腐敗の微妙な兼ね合いですね。 味噌玉の表面と割れ目の中にはカビが生えているので、そのカビを一つ一つ洗い流します。 昔は一般家庭でも味噌玉で味噌 を作っていたのですが、その時の話を聞くと、わざわざカビが生えるまで待って、カビごと仕込んだという話をよく聞きます。 それも家庭の味なのでしょう。自分の家で作った味噌が一番美味しい!だから、「手前みそ」という言葉が出来たんですね。 萬年屋では、かびごと仕込むとかび臭くなるので、味噌玉を洗ってから仕込みに入ります。 上の写真は、洗った味噌玉を砕くところ。水色の樽に入っているのは、洗った味噌玉で、それを機械で砕きます。 3週間熟成させた味噌玉の中央はまだ柔らかくて、手でつぶせる程ですが、表面は乾燥して固くなっています。 そうですね、スイカの皮かメロンの皮くらいの固さでしょうか。機械でないと砕けない固さですね。 自宅で味噌玉を作っていた人は、どうやってこの固さを砕いたのだろうか・・・と不思議に思ったので、 お客様の中で、子供のころに自宅で味噌玉を作っていた方に聞いたところ、石臼で引いたとか、集落の誰かが砕く機械を持っていたとか。 やはり、人の手で砕くには固すぎますよね。こういう事を聞けるお客様も高齢の方が多く、しかも、子供のころに手伝っただけだから、詳しいことは覚えていないという方ばかりで、いずれは聞けなくなってしまいますね。 味噌玉造りという味噌の仕込み方は、本当に消えかけている味なのだなぁと実感した次第です。 わかる方がいるうちに、聞いておきたいものです。